「……イベントが足りないわ」

「な、なんですか突然」「突然じゃないわ! 前々から思ってたの!」「そういう問題じゃないと思う」「ん? アーニャ、何の話だ?」「……フェスティバルの話」「ていうか多いでしょイベントとか。誰かさん主催の」「いやいや少ないわ。……決めた! 明後日の一日全部注ぎ込んで新イベントを開催するわ!」「ま、またえらく無謀な」「何のイベント、ですか」「どうせまたろくでもないことに決まってる」「何なんだよー、焦らさず教えろ!」「ふっふっふ。あのね、それは――」






おひめさま争奪戦(血で血を洗う、決闘開始)





『えー、騒がしくも陽気な昼休み、突然ながらこんにちは、みんなの生徒会長様ですよー』

 校内各所のスピーカーから流れる明るい声。人柄も良く信頼も厚い、何よりそのお祭り好きの性格が大人気のアッシュフォード学園生徒会長のものだ。
 ほとんどの生徒が、会話、あるいは読書や遊びを止め、他はそれらの行動を止めないながらも意識を僅か放送内容へと傾ける。こうして何の前触れもなくあの会長から「お知らせ」がある時は、大抵が重要なことだったりする。良い意味でも、悪い意味でも。
 だからこそ静かな緊張の中、その言葉ははからずも注目される。
 期待と不安と心配と、様々な感情を背負って。

『早速ですが、諸君にお、し、ら、せ、です! 明後日の授業一斉廃棄をここに宣言しまーす!』
 へ? と言葉の真意を理解できず、眉を顰め首を傾げる生徒達。全校から向けられる疑念を簡単に打ち払い、声は続く。

『明後日はぁ、生徒会主催新イベント! かいさーい! その名も「おひめさま争奪戦」!!
ルールは簡単。全校アンケートにより一学年一人ずつ「おひめさま」を選びます。
他のみんなはクラス一つにつき一つずつ「戦闘部隊」をつくって、学年別々のおひめさまを奪って奪い返して盗って盗り返してもらいます!
細かいルールについては明日の早朝、アンケート用紙と一緒に全クラスにプリントを配布します。最終的におひめさまをゲットしたクラスは、うーん……そうだなあ、生徒会による立食パーティに招いちゃいます!』

 生徒会との触れ合い……その甘美な響きに心打たれる者は決して少なくない。
 美形揃いの生徒会メンバーに、気負いせず近づける絶好のチャンスだ。
 ルールはよく分からないが、面白そうだなと会話が弾んでいた、その瞬間――まるで、狙っていたかのように。
『あと、そこのリーダーにはおひめさま一日自由権を進呈! します!!』
 大声の後ろから、「ほわあッ!?」と遠く悲鳴が聞こえた気もしたが、

「「「「うおおおおおおおおおおおあああおあおあおおおッッッ!?」」」」

 学園全体での熱気溢れる叫びに、掻き消されたり。


◆◆◆

「おひめさま争奪戦」 ルール説明
これは学年対抗によって行われるイベントです。
全校生徒へのアンケート(別紙。秘密投票)で一学年一人ずつ自らの愛する者の名前を書き、集計により選ばれたその三人を「おひめさま」とします。

各学年はクラスごとに一つずつ「戦闘部隊」をつくり、一人のリーダーを決めてください。「戦闘部隊」に配属する人数は無制限です。他の生徒は後方支援にまわります。
「戦闘部隊」には一台ずつジンリキシャがわけられます。
開始直前にジャンケンなどの平等の元で行われる戦法により、一つのクラスのジンリキシャにそれぞれのおひめさまが乗ります。つまり、学年ずつ一つのジンリキシャにはおひめさまが乗っていて、他の二つのジンリキシャは無人の状態になります。
また、上記で決められたリーダーは、ジンリキシャから大きく離れたらクラスそのものを失格とします。
開始後は、学園全ての地を使う勝負となります。
おひめさまをゲット中のクラスの「戦闘部隊」はどこまでも逃走し、他の二クラスはそのジンリキシャをどこまでも追いかけましょう。

目標とするおひめさまを奪うためには、クラス同士の対決が必要です。常識の範囲内で勝負しましょう。
おひめさまをゲットしているクラスのリーダーは額にハチマキを巻いています。それを奪うと同時に、おひめさま所有権はハチマキを奪ったクラスに移行します。
リーダーはそのハチマキを新たに自分の額に巻き、おひめさまを連れて逃走しましょう。
最終的におひめさまをゲットしていたクラスを勝者とします。
また、「戦闘部隊」のメンバーは不可能ですが、他の生徒は「裏切り」を可能とします。
「裏切り」とは、たとえばAクラスの人がBクラスの人に加勢したり、Cクラスの人がCクラスと敵対することをよしとする行為です。
「戦闘部隊」の生徒がこの行為をしてしまった場合は、生徒会による制裁が待っているので覚悟しましょう。
3学年の「戦闘部隊」が1学年や2学年のおひめさまを奪うのは不可能です。逆もまた然り。しかし他学年同士の妨害行為においてはよしとします。日頃の鬱憤をはらしてみましょう。
この際、他学年の生徒が他学年のクラスに味方するのも有りです。存分に「裏切り」を行使しましょう。

妨害行為についてですが、相手に怪我をさせない程度のものなら可とします。
学園から抜け出してしまった場合は失格とします。
では、頑張ってください。

◆◆◆


「……進化した騎馬戦?」
 こんな言葉を、誰かが呟いたという。



□ □ □


「…………何でこんなことに」
「に、似合ってるよ兄さん! すっごく可愛い!」
「何故だか褒められている気がしないよロロ」
「男女逆転祭りの時も思ったけど、ほんとルルーシュは美形よねー。嫉妬しちゃうわ!」
「楽しそうに言わないでください会長! あんたって人は……!!」
「わっ、ルルそんなに激しく動かないで! 頭の飾りが落ちちゃうよ?」
 ルルーシュは沈黙する。そんなこと指摘されても虚しいだけだ。
 せっせとルルーシュの頭を整え直すシャーリーとロロを一瞥し、再びミレイを睨み付ける。
 対するミレイは余裕の表情で、ルルーシュの激情をさくっと受け流している。

「イベント開催までなら別に良いと思います。他のイベントより多少は良識もある。
でもおかしいでしょう!? どうして男の俺が『おひめさま』にならなくちゃならないんですか!」
 怒鳴るルルーシュの姿は――まさしく、姫。

 普段の学生服とは正反対の、薄く蒼色が広がった純白のドレス。大きく露出した肩と胸元は羞恥のためか赤く染まり、本人の意思とは関係なく甘い色気を放っている。
 長い艶やかな黒髪を演出するウィッグは、透き通る真珠が四方につけられ彩っている。瞳の紫紺に合わせた色を選んで装飾しているため、清廉なる美しさが見事に引き立つほど華やかに慎ましい、麗しの姫君を演出していた。

「だってルールでも男女の規定はなかったしぃ」
「仮にもおひめさまでしょう!? 王子じゃあるまいし!」
「三学年八割の投票数貰っておいてよく言うわ〜」
 ふぐ……ッ!? とルルーシュの声が詰まる。
「ほ、ほんとなんですか。ほんとに俺が……」
「嘘なわけないでしょ、あんただって票数えたじゃない」
 にやにやと笑みを浮かべるミレイ。絶句したルルーシュは二の句がつげない。
「『投票理由:愛してます、好きです、可愛い、実は心奪われてます、大好きです、結婚してください、女だと思ってた、どんな女より可愛い、付き合って、枢木じゃなくて俺にしろ、萌え、幸せにしたい、守ってあげたい、ルルたんは俺の嫁』……そこら筆頭に、無名投票をいいことにものすっごいこと書いてあったりとかねー」
 赤面を見て、思い出し笑いしてしまうミレイ。ルルーシュは悔しげに唇を噛んだ。

「だ、だめだよ兄さん。化粧がくずれちゃうよ!」
 慌ててロロが口紅を取り出す。渋面。そう、ルルーシュは薄くだが化粧まで施されているのであった。
「……開始と終了時刻は何時でしたっけ」
「開始時刻は約三十分後の九時半よ。終了は午後の四時ね」
「長すぎる……ッ!!」
「そうよね。途中でお色直しもしたいわよねえ」
 そういう問題じゃない。
「会長ー。他の二人のおひめさまも準備完了みたいです」
「よっし。良い感じ良い感じ! 参加生徒の熱気も凄いしー?」

 昨日組み立てられたばかりの巨大テント――おひめさまのおめかしのために――の出口に、ミレイは顔を覗かせる。
 そんな小さな動作にもぴくりと反応した生徒達が、一斉に顔を向けてきた。おひめさまの登場は万人に待たれているようだ。いざその時の反応が楽しみすぎる。
 庭園前に集合した全校生徒は、それぞれ学年ずつ通り沿いにわけられている。ここからでも十分に大きく、九クラスの人力車が見えた。にっこりと笑顔を浮かべ、ミレイはテントから出る。
 二年生おひめさま用のテント。そのすぐ隣には、それぞれ三年生、一年生用のテントが構えている。三年生の方はあまりよく知らない生徒だったが、一年生のおひめさまはアーニャだ。愛らしい容姿で結構な量の票を獲得していた。
 本人は最初からクラスを見限り、ルルーシュ防衛に加勢したかったらしいが、残念そうに諦めていた。

 お祭り前、いつもいつも騒ぐ心臓は、そのいつもよりずっと大きく興奮している。こんなイベントの開催が教師陣に許されるとは(押し切っただけだが)思っていなかったが、生徒達のやる気が尋常ではない。ミレイすら驚くほどの激動により、ほんの二日で開始に迫る「おひめさま争奪戦」。これを楽しめずに何を楽しむというのか。気をつけようとは思うのだが、満面の笑みが中々おさまってくれない。
 ちなみにミレイは三年生だが、イベントには参加しない。放送での実況中継につとめるつもりである。
 その前菜とばかりに、全校生徒を前にして、思いっきり声を張りあげた。

「生徒諸君! 準備は万端かー!!」
 うおおおおおお、と様々な響きを織り交ぜた、凄まじい大音声による返事が青空へと響く。ルルーシュは今頃テントの中で呻いていることだろう。
「あともちょっとでイベント開始よ!」
『うわおわおおわわおおおをあおおおッッッ!!!』
「さーてその前に、クラスそれぞれ戦闘部隊のリーダーにジャンケンしてもらうわよ!」
 ミレイの合図と同時、一歩ずつ歩み出るのは、各クラスの猛者ども。
 その九人、必然的に視線は、一つの場所に集中する。
 正直ミレイは、二年生の戦いに一番期待していた。
 何故なら――

「……ジノ、準備はいいかな」
「そっちこそいいのかよ? 負ける準備は」
 ばちばちと火花を散らし合う二人。
 一人は枢木スザク。ルルーシュの幼なじみ兼恋人を自称する少年だ。
 白いハチマキを額にぎゅっと巻き、鋭い眼光でジノを睨んでいる。
 対するはジノ・ヴァインベルグ。ナイトオブスリーの地位を持つ、転入してきたばかりの青年だ。
 その瞳と同じ、煌めく青いハチマキを額に力強く巻いている。
 以前からルルーシュの知り合いであるらしく、同僚のスザクとも仲が良いのだが、そこには獣の眼がある。
 この二人、互いにリーダーなのである。
 それぞれのクラスでは、立候補も推薦もお手の物。こんな二人を相手に立ち上がる勇気ある者はいないだろう。圧倒的な支持を得て、リーダーとなったのだ。
 普段は緩やか(時に激しい)掛け合いを行う二人だが、今日ばかりはそういうわけにはいかない。
 お互い最愛の者がかかっているのだから。

「はは。僕に勝つつもりなのかい? ジノ」
「勿論だ。ルルーシュの一日自由権は俺が貰う」
「残念だけどルルーシュは僕のだよ。君には渡せない」
 ……面白すぎる。
 もう一クラスのリーダーは置いてけぼりされ、今や全校生徒の眼はその二人にのみ向けられている。二人ともナイトオブラウンズ。注目されない方がおかしいのだ。
「じゃ、いいかしら?」
 その熱気を打ち破り、ミレイが声を上げる。
「学年ごと、不平不満文句なしのジャンケン勝負よ。九人とも良い?
じゃ、いくわよ。じゃーんけーん――」


□ □ □


『さあて生徒諸君、本日はたいへんお日柄も良く以下省略!!』

「それは省きすぎだ……!」

 ルルーシュは苦渋の呟きをもらす。
 既にロロやシャーリーは持ち場に向かい、今ルルーシュは三年生代表おひめさまと一年生代表おひめさまアーニャと共に、舞台裏なるテントの中こっそりと忍んでいる。
「楽しみだね、ルルーシュ君」
「え? あ、……はい、そうですね」
 緊張で四肢が強張っているルルーシュをリラックスさせるためか、三年生代表が声をかけてきた。ルルーシュにとっては有り難いが、このドレス姿を他人に見られるのは非常に恥ずかしい。それに彼女は流石代表といっていい美貌の持ち主で、大きく開いた胸元が視線に入っては慌ててそらす。
 アーニャも本人の趣味のごしっくろりーただとかを披露していて、普段とはまた違う巻き方をされた桃色の髪が可愛らしい。化粧はこの中で一番濃いのだが、何故かそれが一番似合っている。

「ふふ。私もね、ルルーシュ君に投票しちゃった♪」
「……余計なことを」思わず呟く。
「ルルーシュ、私も」「お前までっ!?」「だってお姫様なんて。ルルーシュくらいしか」
 なんで自分の周囲にはこんな人間しかいないのだろう。
「ねえそれで、ルルーシュ君はどっちに勝ってほしいの?」
「? どっち、とは」「だからぁ、」「スザクとジノ」「そう! アーニャちゃんその通り!」
 手を合わせ、何やら意気投合している二人。ルルーシュは首を傾げる。
「いや……別にどっちでもいいん」「何で!?」「それはおかしいルルーシュ!」

「ひ!?」その迫力に思わずたじろぐ。無意識の内にじりじりと後退するルルーシュを、二人は追い詰める。その瞳に宿る真剣な色に、わけもわからず何故か寒気が。
「だって別にどっちが勝っても俺には――」「甘い」「憶えてるよね? 一日自由権」「あ……」そういえばそんな特典もあったか。でも他の二人はともかく、自分を一日使えても全然楽しくない気がするのだが。
 しかし目の前の二人に引き下がる様子はない。使用もなく、とりあえずてきとうに応対する。
「スザクかな」「あえての直球!?」「その心は!」「……ジノよりは、気心が知れてる」「「それだけ?」」「い、いや……あの、」怖い。女性をここまで怖ろしいと思ったのは初めてだ。

『さあーて、それではお待ちかね! 三人の姫の登場でーす!』
 まるでタイミングを見計らったように、ミレイのマイクごしの声。録音されたラッパの音が再生。助け船のように響いてきた。


□ □ □


「……どうせなら」「何だスザク」
「騎馬戦みたいにルルーシュを肩車したかったなあ。それなら密着度が――」「俺は早速ながらジノのところに行きたくなった」「だ、だめだよルルーシュ!! せっかくジャンケンに勝ったのに!!」
 ふん、と不機嫌そうにそっぽをむき、人力車に即席で取り付けられたサイドテーブルに、ルルーシュは片方の肘をつく。そんな何気ない仕草が妙に艶めかしく、周りの生徒は赤くなって視線をわざとらしく彷徨わせる。しかしスザクが独占欲丸出しの眼光をぶつけると、キッと凛々しく「気をつけ」の姿勢をとった。

 ……けれどスザクにも理解できる。その気持ち。
 正直、女装したルルーシュの可愛らしさは尋常なレベルではない。
 他の二人のおひめさまの可憐な姿が目に入らないほどに。釘付けになってしまい、鼻血はじめとする様々なものを噴き出し既に戦闘不能者も続出。事態はまさにルルーシュ一人を軸として混乱を極めていた。

 でもスザクは、ここでは倒れられない。
 人力車の取っ手を、プロの車夫のように強く握りしめる。深く息をはく。
 この戦いには、ルルーシュ一生(一日)自由権がかかっている。絶対に負けられない、負けるわけにはいかないのだ。
 ちらりと後ろを振り返ると、どこか落ち着かない様子のルルーシュ。その細い腰にはシートベルトが装着してある。スザクはそれを確認し、密かに安堵の息をもらす。これで、守るものを間違って振り落としてしまいました、という展開はないだろう。
 次いで、ほんの数百メートル離れた位置で、開始を待ちわびているだろうジノの姿を思い浮かべる。

 ――彼には、絶対に負けない。
 戦いでの敗北は、許されない。
 ルルーシュの愛らしい姿を、たったの一目見ただけで退場(リタイア)なんて、馬鹿げた状況を作り出すわけにはいかない。
 戦いの決意。再びそれをかためたその時。
「すざくすざく」「何だいルルーシュ」


「鼻血をふけ」


 ……台無しだよルルーシュ。


 どこか遠くで、開始を告げるピストルの発砲音が鳴る。


□ □ □


「うおおおおおおおお――――――!!!」
 早々の突撃。ナイトオブスリーたるジノの襲撃を、スザクは予測していたのだろう、真っ先にジノに背を向け逃走。
 逃走、と。言うのは簡単、なのだが。

「ほわほわほわほほあおあほあああああッッ!?」
 発車する電車に腕をはさまれ、無理矢理に引き摺られていくような超高速の速度と激痛とがそこに待っていた。
 まるで車夫たるスザクに呑み込まれるような勢いで、がったんごっとんと人力車が走っていく。「――! ?……!!」ルルーシュの声なき絶叫。人力車も凄まじい悲鳴を上げている。視界がぶれ続けて今どの辺りにいるのかもさっぱり分からない。

 速すぎるこの馬鹿、と叫びたかったのだが、がちりと思いっきり舌を噛んで悶絶。その間にもガッタンゴットンと人力車は戦闘部隊によって、半ば引き摺られる形で進む。
「いたい! やめてくれスザク! いたいいた――ひゃう……!!」テーブルにしがみついて衝撃に耐えようとするが、ジェットコースターにシートベルトを装着せずに乗るような安定感のなさは止まらない。身体は段差があるたび、ひっくり返るように何度も跳ね上がり、打ち付けられる尻がそこはかとなく痛い。
「ルルーシュ最高! 今の台詞色っぽかったよもう一回!」その息が全くあがっていないことに苛つく。
「体力馬鹿め……っ」
 呪詛をはくと同時、
「兄さん!」「ほああ!」何者かに突然抱きしめられ、全身がびくりと竦み上がる。
「なっ! ろ、ろろ?」「早速だけど、クラスを裏切ってきました!」「早!」
 考えるまでもなく、その正体はロロ・ランペルージ。この超高速移動中の物体に、まさか飛び乗るなんて不可能だろう。どうやら絶対静止のギアスを使用したらしい。

「こんな悪環境に兄さんを放っておくなんて僕にはできないからね! ほら、僕につかまって!」「あ、ああ」
 言われた通りにつかまろうとしたら、後ろの壁に向かって押し倒された。
「ね、これなら姿勢が安定するよ!」「確かにそうかもしれないが物凄く危険を感じる!」
 先程よりも速度が少しはゆるやかになった人力車。なんとか会話は出来た。背中しか見えないスザクは、自分が引くモノにもう一人分の重さが追加されたことに気付いていないらしい。
 横目で見やると、十人近くいた戦闘部隊の男子生徒何人かが、ジノのクラスと既に衝突しているらしい。後ろの方では、ぶつかりあう金属音が――
「……おかしい。何で他にも火薬のにおいが」「ちなみにC.C.やカレンも変装して参加してるらしいよ」「聞いてないぞ!」
 ロロの接近をなんとか振り払い、ルルーシュはなるべく低く身体を起こすと、そっと後ろを窺う。乱戦もようの二クラスの男子、その中心点を、無理矢理突っ切って強引に突進している人力車一つ。距離はほんの百メートルほどか。ここからでは表情は掴みかねるが、ジノの本気さはじかに伝わってくる。
 何でそんなに必死なんだ、と憮然とした面持ちになるルルーシュだが、そんなことには構っていられない。ジノとスザクが突撃したら壮絶な事になりそうだし、どう考えても自分は巻き込まれる。ならばここはうまく立ち回らねば。
「スザク」「どうしたのルルーシュ!」「ジノが来てるぞ」「分かってるよ!」「……スザク、頼む」「え?」
 不思議そうに後ろを向いたスザク、物理的にはその目線の上にいるルルーシュはしかし、

「俺を……護ってくれ」

 潤んだ瞳を上目遣いに、両の手を祈るように交差させ胸元で組み、そっと静かな言葉を重ねた。

 真っ正面からその攻撃を喰らったスザクは、一瞬で理性が吹き飛んだ自分を、最後に感じたという。


□ □ □


「り、リーダー! 突然敵の速度が増しました!」
「絶対に乗るな! 罠の可能性もある! それにあれだけの速度を出していたら必ず体力が保たないはずだ!」「そんなことを言いつつリーダーも負けじと速度を上げているのは何故でしょうか!」「黙れ! いいから走れ!」
 それを追いかけるジノは、ちっと舌打ちする。
 スザクの並はずれた運動神経については、同僚としてよく理解しているつもりだ。彼の能力は特化している。流石「ランスロットを片手で持ち上げる男」。侮れない。
 けれど、一秒後のジノの表情には、笑みが浮かぶ。このイベント、確かに景品にはとてつもなく惹かれるものがあるが、それ以上に――

 あのスザクと、こうして本気で戦えるのが、楽しい。

 普段は立場上、戦うなんて真似は許されない。協力し、連携し合う仲なのだ。けれど今日は違う。イベントという名目が存在し、理由がある。
 ジノは、防御は苦手だが、攻撃ほど得意なものはない。

「障害は大きければ大きいほど燃えるってね!」

 後方支援生徒から投げられたペットボトルを空中で受け取り、歯を覗かせて思いっきり笑う。


□ □ □


「ねえあたし達、何しにここに来たんだっけ」
「何を言っている。おひめさまとやらを奪いに来たのだろう?」
「はあ……こんな事のためにここに戻ってくるなんて……」
 ぶつぶつと言葉では文句を連ねるカレン・シュタットフェルトだが、実際のところ心の中はかなり踊っていた。
 C.C.に誘われ、久々に訪れたアッシュフォード学園。けれどその雰囲気は、懐かしさを感じさせる質のものではない。寧ろ初めての挑戦に心躍らすような、爽快な空気があった。
 事実、今日はミレイによる新イベントが開催されている。「おひめさま争奪戦」とかいう、ネーミングからも頭が痛くなるようなイベントらしい。が、
「ルルーシュはそろそろ来るのかしら……?」
 その『おひめさま』に、どうやらルルーシュがなりきっているらしい。

 正直にいえば、カレンだってそんなもの見たいに決まっていた。写真におさめてやりたい。勿論記憶にも。完璧に残してやりたい。主に嫌がらせに。
 それ以上に、彼が麗人としての本気を出せば、どのくらいの美形になるのかと興味もあったが、やはりそれ以上に、楽しみにしていることがある。
「いつスザクは、この地点に来るのかしらね」
「ふっふっふ。カレン、お前もやはり楽しみなんだろう?」
 変装し、本日は目立たない黒髪少女になっているC.C.が、こちらもまた特段に楽しげな笑みを向けてくる。
「あったりまえよ。こんなの楽しまずにはいられないっての」
 カレンは帽子を目深に被っているが、口元の歪んだ形だけは隠せそうにない。
 二人とも今日はアッシュフォード学園の制服を着ている。C.C.は女子用だが、カレンは男子用だ。一度でいいから着てみたかったのである。C.C.には似合っていると褒め称えられたが、そこまで嬉しくはない。馬鹿にされた気もするし。

 カレン達はスザクが通過するであろう地点を最初から絞り出し、そこに罠をいくつか仕掛けていた。アッシュフォード学園は確かに広大だが、スタート地点はわかっているから、そこからのポイントを中心的におさえれば何て事はない。庭園から反対側にある林道付近で待機しているのは、ここは大分複雑な道の造りとなっているので、追っ手をまくのには適しているし、人力車でも隠せるくらいの蔓が生い茂っているからだ。ここは最も通過する可能性のある場所で、だからこそ颯爽と生徒に紛れ込んで向かってきたのである。
「……む、遠くから人力車の車の音が聞こえてきた」「あたしにも聞こえるわ」二人でにやにやと笑い、「カレン、そっちの端は持てたか?」「ええ、完璧よ。そっちは?」「誰にものを訊いている?」
 びーんと、細い糸を道の端から端まで伸ばしていた。
 人力車を引っ張っているスザクを、細い糸で躓かせる作戦なのであった。

「どうせ邪魔するなら」「とことん」「徹底的に」「あらゆる手を尽くし」「「破壊!」」
 トンデモ意気投合の二人。最早阻むモノなど何もない。
 カレンとしては、いつもいつも押され気味のスザクへの仕返し。
 C.C.としては、下僕のくせに態度が偉そうなルルーシュへの嫌がらせ。
 しっかりと蔓の間に身体を隠し、準備は万端だ。これで奴等に大恥をかかせられる。
「「さあ、来い!!」」
 声を合わせたその瞬間、迷路道へと現れるは、騒がしい不協和音を休まず立て続ける人力車。それを引くスザクの姿。

(き、来たわねルルーシュ!)
 ここからならまだ充分距離がある。まずデジタルカメラでルルーシュの姫姿を撮影し、すぐに糸を握る電撃作戦(?)の予定だ。
 だからカレンは、用意しておいたカメラを勢いよく構え、ピントを合わせようと――

「……え……?」

 して、できなかった。
 元々細い道だ。スザク達の人力車も、そう速度を出せているわけではない。比較的ゆっくりしていた。
 だから、余計にはっきりと、見えた。

 レンズごしに映ったルルーシュの姿に、思わず見惚れてしまっていた。

「ルルーシュゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!」
「す、スザク! こわっ、こ……」
「兄さん、枢木に色仕掛けなんか使ったでしょ。お仕置きだよ?」

 そんな会話達は、身を隠したカレンたちに、無視するように気付かず、あっという間に通り過ぎていく。
 追いかけるジノ達も、一瞬で過ぎ去っていく。
「…………」カレンはしばし沈黙し、がさごそと蔓から出ると、C.C.に目線を送った。
 C.C.もまるでぽかんと口を開けて、呆然としていた。視力の良い彼女のことだ。カレンよりはっきりと、ルルーシュの艶姿が目に入ったに違いない。
 何の効果も発揮せず、ただ地面に落ちていた糸を見て、二人で一言、

「「……綺麗すぎ」」

 脱力するように、呟いた。


□ □ □


「疲れた……」
 主にロロへの対応に。
 ルルーシュは何度と分からない溜息をつく。背後を振り返るが、、もうジノの率いる部隊は見えなかった。
 スザクは、安心しきった様子こそないものの、後方支援生徒からの補給物資(食糧や飲料水)を受け取り、安定した速度で人力車を引っ張り続けている。
 戦闘部隊も、開始からずっとおひめさまが確保できているので、少し余裕が見えた。既に二人脱落しているが。
 遠くの方で、アーニャの乗る人力車が見えた。他のクラスと激闘を繰り広げているらしい。少しばかり楽しげに、それらの様子を『記録』にとっている。余裕の様子に、彼女は仮にも軍人であることを再認識して溜息をもう一度。
 そういえばいつの間にかロロが車上から消えていた。さして気にはならないが、自分の知らないところでまたよからぬ話が進んでいないかと少々心配になる。
 カレンやC.C.とも会わないままだ。二人ともあの性格上、必ず何らかの妨害でも行ってくるかと思っていたのだが……。

 ともあれ、これでようやく午前は乗り切った。あとは四時間耐えればいい。
 全身が麻痺して感覚がなくなっているが、もう少しの辛抱だ。深呼吸する。緊張する心が小さく落ち着いた。
 けれど。
 なんだか、あの青年がここに来てくれないことが、やけに虚しかった。
 三年生の姫に言ったように、それを望んでいるはずだった。スザクの方が、と。
 スザクに言ったように、この展開を望んでいるはずだった。頑張ってくれ、と。
 けれど……。

 ジノが来てくれないことが、何故だかとても、寂しい。

「ルルーシュ、ちょっとスピード上げるけど大丈夫?」
「ああ、構わない」
 スザクに頷くが、一度思ったことは心から消えない。
 ジノなら、簡単に、スザクを倒してしまうかもしれない。
 ジノなら、簡単に、ルルーシュを連れて行くかもしれない。
 心の何処かで芽生えていた、それは期待だった。
 勝手に存在を主張すると、うまく抑えられない。
 スザクがこのまま優勝しても、別に悲しくはないと思う。自由権をどうやって使われるのかは想像するのに怖ろしいが、彼のことは好きだし、困ることも何もない。
 同じように、ジノが優勝しても、別に悲しくも嬉しくもないと、そう、思っていたのに。
 よく分からないけれど、ルルーシュはあの青年のことを、密かに好んでいたから。
 スザクに寄せる信頼とはまた別の、どこか淡い、静かに燃え上がるもの。
 それは、名前もないような、幼い感情。

□ □ □

 からころと、今までの負担も気にしない速度で、ぐんぐんと人力車が進んでいく。
 ウィッグの長髪を指先に絡め、また、溜息をついてしまう。途中二年のもう一クラス(何故かロロは次はこちらに加勢していた)や三年生、謎の黒ずくめ集団(C.C.やカレンらしき人物がいた)と激突もあったが、現在の時刻は三時半。ゲーム終了までもう僅かな時間しか残されていない。
 その矢先、ふと、目線を上に
 …………ッ!?
「あ……!」「!? な――」
 ルルーシュの声と、スザクの驚愕が重なる。
 校舎。その、三階あたりの窓から。

 人力車が、飛び降りてきた。

「ジノ!? そんな、まさか!」
 スザクが慌ててその追撃から逃げようとするが、
「隊長! 上空を!」
「な……何ッ!?」
 ジノの遥か上空、そこから、
「も……モルドレッド?」

 一人の少女の矛であり盾である一機のナイトメアが、舞い降りてきた。
 うわあああ、ぎゃあああと、様々な悲鳴と絶叫が連なる。ナイトメアが起こした、台風にも似た風の爆発のせいだ。
 巻き込まれた生徒達が、空に舞い上がる。それは重い人力車でも例外ではない。モルドレッドは、そんな生徒達を器用に拾い上げ、怪我をさせぬようその武骨な両手に包み込む。なんで、どうして。そういった疑問さえ吹き飛ばすような暴風域。ルルーシュは必死に眼をつぶるが、砂が何粒か入ってしまったようで薄く涙が滲んだ。長髪が逆立つように波打つ。ドレスのレースやら裾が盛大に音を立ててはばたいていた。

「じ、ジノ……」
 どこか引きつった、スザクの呟き。
「よう、スザク」
 どこか脳天気に、場違いな挨拶。
 我慢して眼を開いた、その先、
「ルルーシュ、迎えにきたぞ!」
 笑顔のジノが、見えた。

「おりゃあっ!」
 ジノの長い腕が伸ばされる。スザクは空中ながら見事な動きで半身をねじ曲げその攻撃を避ける。そしてその体勢を利用して強烈な蹴りを投げた。
 ぶん! と空振りするが、それは計算通りだ。勢いを逆の方向へねじ曲げ、そのまま踵落とし。ぐ、とジノの息が詰まる。上空から連れてきた人力車の取っ手を持つ手の力が、少し弱まる。
「どうしたジノ? 威勢が良いのはそこまでか!」
「……なわけないだろ!」
 にやりとジノは、挑発に満足げな笑みを返す。む、とスザクが口元を引き締めた。
 同じ立場にある人間として分かっている。彼のこの表情は、危険な合図だ。
 本気≠フ、サイン。

「……今度はこっちからいく!」
 スザクは拳を放つ。これは避けられる。だが本命はこちらだ。
「うおおおおお!」
 頭突き。これで一気に仕留める――!!

 まるで少年漫画のように盛り上がるスザクの心情だが、一つ彼は、大切なことを忘れていた。
 それはあまりにも重要で、だからこそ些細に、忘れてしまっていたこと。

 この風の中だ。普段であったなら回避不可能のその攻撃も、本気の力を発揮してもわりと遅くなってしまう。流れに逆らっているのだから当たり前に。
 だから、忘れていた。

 激しく振動したスザクの額から、一つ、白いハチマキが消し炭のように吹っ飛ばされた。

 え、とジノは動きを止め。
 あれ、とルルーシュは首を傾げ。

 スザクは。

「……そういえば、ルール思い出した」

 今更ながらに、はっとした。


□ □ □


『ではでは、優勝クラスの発表ですよー!』
 あの後。
 モルドレッドに何とか救われ、重傷を負わずに済んだ三人は。
「は、ハチマキどこに!?」
「何時間か前から思ってたんだけどさ、わざわざハチマキをとってひめを貰うってのに無理があるって。だってシャフ? って役目上中々両手使えないじゃん。ハチマキを直す余裕とか、ないし」
「…………」
 慌てるスザク。きょとんとしているジノ。何故だか沈黙を続けるルルーシュ。
「なあなあルルーシュ、さっきからどうしたんだよ? またえらく不機嫌そうに」
「……、別に」
 結局、

『一年生は、おひめさま役アーニャの逃走により、優勝クラスなし!』
 ミレイの声が、響く。生徒達は、苦笑いのようなどうしようもない感情を表情にのせ、その声を聞く。
『二年生は、えー……』
 二年生部門での『優勝者』は、後のインタビューでこう語ったという。
「まず、これは学年ごと別々に区切られた枠の中で行われたゲームだとされていた。でも、それは間違い。裏切りをはじめとする、学年別での妨害行為も許されている。そこから導き出される結論は、つまり、限りなくルールは易しく、おひめさまにも自由な行動権が与えられる≠ニいうこと。おひめさまに関する法則(ルール)はないのだから当たり前。学園から抜け出してはいけないというのも、私は元々学園の敷地内にモルドレッドを用意していたから条件はクリア。
そして、ハチマキを奪えばおひめさまを連れて行けるということは、リーダーがハチマキを奪うことが絶対ではない≠アとを意味する。
最後に、ルールには奪ったおひめさまを人力車に乗せる≠ニは書いていない。奪って、逃げろと書いてあるだけ。だから――」

『ナイトメアを操り、おひめさまを連れて三十分を駆け抜けた、孤高の姫君、アーニャ・アールストレイムが優勝です!!』


 反則だあ、と誰かが泣き声を上げた。
 他の誰かは、楽しかった、と笑った。
 あともう少しだったのに。惜しかった。嬉しかった。してやったり。怪我人が出なくて良かった。またやりたい。今度こそは。
 ほとんど笑い声のような、そんな喧騒が学園を包む。


 ルルーシュは壇上で、アーニャと手を握り、
「……楽しかったな、アーニャ」
「うん、楽しかった」
 モルドレッドの手で見事ハチマキを拾った彼女と、満足げに会話して。

「……あいつに期待なんかするのは、まだまだ早いか」


 薄く微笑み、その視線の先に、一人の青年を見つけた。







 八月の一ヶ月間置かせて頂いた、ギアスCP投票お礼小説です。
 70票の応募をどうもありがとうございました! とっても嬉しかったです♪
 お届けするのが遅くなってしまいましたが、結果発表です。


1位 ジノ×ルルーシュ 20票

コメント
・ジノルルが大・大・大・大好きだぁーーーーーー!!!!!
・30恷互・・
・もう、ジノルルは最高です!!!最高すぎてほかにいいようがありません。
・ジノルルLOVE!!!!

 素敵なラブコールをありがとうございます!vV

2位 ロロ×ルルーシュ 14票

コメント
・ルル受け大好きです☆

 私も大好きです(笑)

3位 スザク×ルルーシュ 10票
3位 C.C.×ルルーシュ  10票

 C.C.が見事に女性一位を獲得。
 元々の項目は「C.C.&ルルーシュ」だったのですが、「C.C.×ルルーシュ」を追加してくださった方がいたようです!
 その熱意には驚きと尊敬を……!

5位 カレン&ルルーシュ 4票
5位 星刻×天子 4票

 ルルカレは、すごく好きなカップリングなのに全然書いていないので、これから増やしていきたいですね!
 星天は、ルル受サイトなのに、追加されていてびっくりです(笑)機会があったら挑戦したいです!

7位 その他×ルルーシュ 8票

コメント
・あえて天子×ルルで
・星+ルルが好きです!

 この二人でルルをとりあったら楽しそうです^^


 たくさんの投票を本当にありがとうございました!
 これからの作品作りに参考にしていきたいと思います。
 また、これからも投票の場を設けることあると思いますが、その時もご協力いただけると幸いです。



 ちなみに、票を獲得したキャラクター達をなるべく目立たせたつもりの今作でしたが、どうだったでしょうか……?
 無駄に長くなってしまい、ロロの裏切りや、女二人の逆襲などが一文で終わってしまい消化不良の状態です;
 管理人もかなり大急ぎに書いたので、誤字脱字はじめとする矛盾点など、数多く存在しているかと思われます。指摘の方もしていただけると助かります!
 ちなみに、数人のキャラクターの学年が違うのはご愛嬌です。少々パロ要素が。
 また感想などありましたら、宜しければ拍手あたりからどうぞ!
 ご愛読ありがとうございました!vV




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