「ボスは、骸様が好きなの?」




あなたへの想い (星、落つる)




 クロームは、沢田綱吉のことが好きだった。

 彼と巡り会う輪廻をくれた骸に深く感謝して、頼まれなくても綱吉を護り、彼のために朽ちる覚悟があった。

 知らなかったから。



「ボス」

「どうしたの? クローム」


 他愛ない挨拶を繰り返す。たまに会える。

 骸がいないから、会える。


「ボス」

「どうしたの? クローム」


 その眼にうかぶのは、落胆?

 クロームがいるから、会えない。


「ボス」

「どうしたの?」


 守護者と、ボス。

 クロームと綱吉は、それ以上の関係にはなれない。一生。


「ボス」

「クローム?」


 六道骸と、ボス。

 それは、違う。


「ボス」


 瞬き。俯く。


「骸様に、会いたい?」


 小さく驚愕の息。期待と、不安。


「ボス、骸様、出られるよ」

「え……で、も」


 そんな、嬉しそうな顔、しないで。


 「わたしが呼ぶ、から。だいじょうぶ」


 泣きたくなってくる。



◆  ◇  ◆



「無駄な感情か」

「雲の守護者。あなただって一緒。変わらないわ」


  偶然? 必然? 雲雀恭弥に会う。

 暗い眼を見て。悟ったかのように、口を開いた。


「そうかな。君よりは僕の方がマシだと思うけど」

「嘘。一緒。勘違い。骸様と、それ以外。ボスの中での枠はそれだけ。
あなたもわたしと一緒。何も変わらない。同じ。世界。そのまま」


  自分でもわけがわからず、捲し立てるようにぼそぼそと呟くクロームに、雲雀は興味をなくしたように去っていった。


「ボスは」


 クロームは、しゃがみ込んで、小さく泣きだした。


「ボスは」


 鼻がつん、と痛んだ。久しぶりに訪れる感覚。

 どこかが痛くて、どこかが苦しくて。

 たくさんの、いっぱいの、この胸からこぼれおちそうな愛をあげても。


「ボスは、わたしに守護者への愛情≠オか返してくれないもの」


 空っぽで、終わるだけ。





 骸ツナ←髑は好きなのですが自分が書くと絶対に悲しくなります。
 ヒバ様も登場していただいたので、実際は骸ツナ←髑髏、雲雀という風になっております。
 ヒバ様やクロームの口調はこれで合っているのだろうか……。

 この作品をきっかけに字のサイズを小さくしてみることにしました。
 もし見にくければ仰ってくださいますようお願いします。






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